
先日の話。
なんだかその日はとても悲しくて
意味もなく歩いていたのです。
春休みだというのに大学のキャンパスをうろうろ。
虚無の心と身体は、なんだか時空を超えて
ふわふわふわふわ。
頭の中では
夢のこと、愛のこと、プライドのこと、希望のこと。
そしてそれらが突如消えてしまうことなど
とりとめもなく、考えていました。
ふと見ると土手の脇に
小さな桜の木。
この寒い季節だというのに、立派に花を咲かせていました。
--どうして、もうこんなに花を付けたの?
私の問いかけに桜の木は
「私にとっては、今が一番いいからよ」
--まだ寒いから、すぐ枯れてしまうかもしれないよ?
二つ目の質問には、桜はなにも答えませんでした。
寒いのにがんばって咲いてるのが「偉い」とか
こんな小さな木なのに、たくさんの花を付けて「立派」だとか
そういう考えが
夢や愛や、プライドや希望を「消えた」と錯覚させるのでしょうか。
桜は桜で
自分にできることを精一杯やってるだけなのに。
「今だ!」と思って咲いているのに
ただ、付けたいだけの花を体一杯に付けているだけなのに。
もし寒さで枯れてしまっても
今、これだけ凛としてこの土手に立ち
花を咲かせているんですから
夏が来て、秋が来て、葉さえ落ちても
絶対また咲いてやるって
1年間じーっと、じーっと
そこに佇んでいるのです。
嗚呼そう
ただ、ひたすらに。
私に今、足りないのは
今を信じる、強さですよ。
PR